―君の色は鮮やかで眩しくて、そしてとても美しかったから。 だから俺は恋をしたんだ。―



青空向日葵の絵

T  引越しの日





夏休みが残りあと1週間の日。
俺は父さんの仕事の都合で、「木の葉」とかいうあまり人の訪れない田舎の村に引っ越すため、車に何時間もゆられていた。

別に落ち着きの無い性格なわけではないのだが(むしろ自分はかなりの冷静な人物だと思っていたりする)、こうも何時間も乗っていると流石に疲れてくるし、隣の席には乗った時からずっと真顔無言で本を読んでいる(父さんの本で、俺も読んだ事がある。一人の少年が絶望的な人生を送りながらも生きようと頑張る話だった気がするのだが、内容はあまりにも悲しくて、とても真顔で読めるような本じゃなかった。)大嫌いなクソ兄貴が居たりするわけだから、俺は最っ高に機嫌が悪かった。
ただでさえ、住み慣れた都会からそれとは正反対のド田舎に引っ越すこと自体気に入らないのに、こんなのはあんまりじゃないのか?

そんな思いが顔に出てしまっていたのか、助手席に座っていた母さんがこっちを向いて、
「サスケ、もうすぐで着くからね?」なんて言って俺の頭をなでてきた。
その途端、兄貴の肩が微妙に揺れ出す。
本で顔は見えないけど、間違いなく笑ってやがる。

ああもう、本当にあんまりだ!!



十数分後。
ようやっと、新しい家に着いた。
少し古い家のようだが、まぁ広いし2階もある。
2階に上がってみるとこれまた広くて、窓の外を見ると、青い空と大きな白い雲と、沢山の緑の山の色のコントラストが綺麗な風景が広がっていた。
そして、家から少し遠い辺りのほうには、沢山の家の屋根と、学校らしき建物が見える。
・・・そういえば、車の中にいた時はクソ兄貴や何時間もの移動時間にばかり気を取られていたが、この残り少ない夏休みが終われば俺はあそこの中学校(なんだろうか?)の転入生になるんだよな・・・。

別になったところで、前の学校と何も変わらないだろう。

たいてい転入生になるやつは、今の俺と同じくらいの時期なら『友達ができるだろうか』とか、『勉強についていけるだろうか』とか心配するんだろうが、そういうものは俺は一切無かった。
中学生にしては、いや、中学生だからなのか、俺は結構冷めた性格をしていた。
田舎だろうと都会だろうと関係ない。
何も代わり映えしない、平凡な毎日がもうすぐ始まるんだ・・・。


―でもそれも、あの一枚の絵に出会うまでの話・・・。―