下に降りていくと、サスケの母さんがとっても美味しそうな料理を沢山作ってくれてた。
味も最高で、彼女に素直に感想を言ったら、すっごく綺麗に微笑んでくれた。
その後、もう遅いから泊まっていきなさいとさっきのサスケの兄ちゃんと同じこと言って、お風呂やら歯磨きやらやって、只今サスケのベッドに二人で寝転がってますってばよ。
(告白されて、断ったのに家まで連れてこられて、同じベッドで寝ちゃってるなんて、今日はとことんおかしな日ですってばね。・・・だけど、)
10 星空の下で
「・・・サスケ、起きてる?」
返事は、なし。
イタチの部屋を出てから、サスケはずっと(母親への受け答えは最低限やっていたが)無言だった。
『きっと、俺のことで兄ちゃんに怒られちゃったから・・・』
話し掛けてもピクリとも動かないサスケだったが、それでもなんとなく起きてる気がして、背中を向けてるサスケに向かって色々しゃべりかけた。
「今日は、色々あって、くたびれちゃったってばよ。」
「・・・・・」
「昨日あったばっかの奴に告白されて、キスされて、断ったのに自己中なこと言われて、俺ってば病人なのに無理やり家に連れてこられて、気付いたらお泊りしてるなんて、さ。変な感じだってば。」
サスケの寝息が止まった。
ほら、やっぱり狸寝入りだったんじゃん。
でも気付かないふりして続ける。
「『俺に惚れられたんだ。望んでる人生狂わせてやるー』なんて、あんまりだって思わない?」
「・・・・・」
サスケの返事は相変わらず無し。
ナルトはふっと窓の外を見た。
ここが田舎町なのもあって、星がたくさん光っている。
様々な色の星達がちかちかと瞬くのに見惚れた。
(すごく、綺麗だってば・・・・)
そんなナルトの頭の中に、さっきのイタチの言葉が蘇る。
『俺はナルト君が生きることを願うなら、治療を一生懸命させてもらう。・・・明日の朝までにどうするか決めてくれ。もし君が生きたいと願うなら、明日の朝、俺と一緒に俺が勤めている病院へ行こう。』
(生きることを願うなら、かぁ・・・・。)
サスケは自分になにがなんでも生きろと言った。
両親の後を追うことを、全力で止めると言った。
病気で死にそうなら、俺が全力で直す方法を探すと言ってくれた。
それは全てサスケの自己中心的な愛からきた言葉だと思うけれど、こんな自分にそこまでの言葉をかけてくれる、それも同情からのものじゃないなんて。
「・・・・お前、明日、どうするんだ?」
物思いに耽っていたら突然低い声が聞こえてきた。
「・・なんだ、サスケ起きてたんじゃん。」
気付かなかったフリをしてあげる。
ばれてたなんて知ったら恥ずかしさでまた暴れだす気がするから。
「どうするんだ?」
「・・・考え中ですってばよ。」
「・・・・そうか。」
また沈黙。
ふっと息を吐いた。
「サスケ」
呼びかけてみた。
返事はまた無し。
「サスケ、起きてんだから、ちょっとくらい聞けってばよ。」
「・・・なんだ?」
「こっち向けってば。」
「嫌だ」
「うわ・・・即答。いいから、向けってば。」
「嫌だ」
「・・・・向いたら、明日の朝イタチ兄ちゃんと一緒に行くかもよ?」
瞬間、サスケはくるっとナルトのほうに体を向けてきた。
思わずへへっと笑ってしまう。
「・・・なに笑ってんだよ、ウスラトンカチ。」
「それ、禁止ってゆったじゃん馬鹿サスケ。・・・ほら、即答するくらい嫌がってたくせに俺のことだとすぐにきいてくれたから。」
「・・・言っただろ、何が何でも生きてもらうって。」
「それ、お兄ちゃんに怒られたのに?」
「・・・・・・」
サスケは返事をしなかった。
月明かりに照らされたサスケの顔は、ちょっとカッコ良くてドキッとしてしまう。
それ以上見てられなくなって慌ててベッドから起き上がると、窓のほうを指差して、
「・・サスケッ!ちょっと窓のほう行こう!」と言った。
風が優しく二人の頬を撫でた。
微かに聞こえてくる鈴虫の音がもうすぐやってくる秋を示している。
真っ黒の夜空には沢山の星達がきらきらと輝いてそれは綺麗な光景だった。
2人共、黙って夜空を眺めていたが、ハッと我にかえったようにナルトがくるっとサスケに振り向いたのでサスケは驚いた。
「・・・なんだよ?」
「生きてるって、良いってばね!!」
「・・・は?」
なんなんだ突然そんなこと、と疑問に思ったサスケを無視して、ナルトは続ける。
「だってさ、だってさ、死んじゃったらもうサスケの母さんが作ってくれた美味しい御飯だって食べらんないし、学校もずっと行けないまんまだし、それにっ・・・・!」
「それに?」
やけに早い口調で語られた言葉は、どれもナルトが伝えたいことじゃない気がして、サスケはその続きを急かした。
ナルトのほうはなにかに戸惑っているようで、視線を四方八方にむけている。
それでも、またサスケのほうに視線を戻すと、ぐいっとサスケの耳に口を近づけて、
「 」
と呟いて大急ぎでベッドに戻っていった。
取り残されたサスケは顔を耳まで真っ赤にして、ぼうっと窓辺に座ったまま。
大急ぎでベッドに戻っていったナルトの横顔の紅く染まった頬とさっきのナルトの言葉を頭の中に浮かべてふっと笑った。
『・・それに、さ。死んじゃったら、もうサスケと一緒にこんな綺麗な空観れなくなっちゃうってばよ。』
満天の星空はきらきらと瞬きながら、優しくサスケを見下ろしていた。
※次が最終回です。