信じている。きっとキミは・・・・。

The last  始まりの日


「なーに暗くなってるのよ、サスケ君。」
急に頭をこつんと小突かれたので、眉間の皺がより深まった。
桜の舞っている背景に溶け込んだ美しい桃色の髪を靡かせてサクラが笑っている。
そう、季節は春。
今俺はこの田舎に引っ越してきて最初の春を迎えている。
野山に囲まれたこの土地は、本当に自然な季節を味わうのに適していると思う。
通学路の途中にあるこの大きな桜の木は、美しい満開の華を咲かせていた。
「・・・なんでもねぇよ。」
「ナルト、まだ帰ってきてないんだ?」
「・・・・・・・・」
分かってんじゃねえかという眼差しを向けると、ふふっと幸せそうに笑われた。
「ナルトなら大丈夫よ。だって、サスケ君のお兄さん、一流のお医者様なんでしょう?」
「本当かどうかはよく分からないけどな。」

―あの朝、目が覚めたときにはもう二人の姿は無かった。
見送った母の話によれば、ナルトはちゃんとイタチと一緒に病院へ行ったらしい。
そう聞いた時はすごく安心したのだが、日が経つにつれ、また不安が逆流してきた。
ナルトはちゃんと治るのだろうか。
向かったのは9月の始めだというのに、今はもう4月で、学校も今日から新学期がスタートする。
兄からはまったく音沙汰ない。
(一流の外科医とか呼ばれといて、もしものことがあったってんなら・・・・・!)
不安と兄への苛立ちで毎日が辛くてしょうがない。

「・・・そういえば、今日、転入生が来るらしいよ。」
後ろを歩いていたサイの言葉にサクラがくるっと振り返る。
「えっ?どんなコどんなコ!?」
「さぁ・・・?あ、でもまたサスケ君と同じで、都会からの子だってのはきいてるよ。」
「へぇ〜・・・・・って、それよりもまずは私たちが一緒のクラスになれるかが大切なのよっ!?」
サイが少し驚いたように目を見開いて、照れくさそうに笑った。
サクラもそれを見て嬉しそうに微笑む。
(・・・・もしかしてこいつら、)
すると、サクラがまたぐるりと前を向いて「早くクラス表確認しましょっ!」と走り出した。
無視して自分のペースで歩こうとしたが、後ろからサイがぐいぐい押すので、仕方なく走った。
桜の花びらの絨毯の道はまっすぐ学校まで続いている。


担任は去年の紅先生ではなく、いつも胡散臭い格好をしていて、それでいて人気のあるカカシ(先生)だった。
なんの運命か、サクラともサイともまた同じクラスになってしまった。
転校してきて一番最初に話し掛けてきたキバとは別れたが、キバのほうは片思い中だというヒナタとかいうやつと同じクラスになれたらしく、嬉しそうに自分の教室へ駆けていった。
「しゃーんなろーっ!!これからもよろしくね2人共v」
嬉しそうにガッツポーズしてみせたサクラに、サイもまた嬉しそうに笑顔で返している。
そんな二人を見ていると、また不安が押し寄せてきた。
『死んじゃったら、もうサスケと一緒にこんな綺麗な空観れなくなっちゃうってばよ。』
恥ずかしさに頬を真っ赤に染めながら、そう言ってくれたあの日の夜のことが浮かぶ。
あの夜、ナルトは自分の病気に立ち向かう決心をした。
両親を失った悲しみから立ち直る決心をしたのだ。
その証拠に、あいつはイタチと一緒に病院へ向かったのだ。

(・・・俺は、ただ信じていればいい。あいつは帰ってくる。きっと・・・・)

窓の外を眺めるとさっきの大きな桜の木が見えた。
暖かな春の日差しが気持ちいい。
少しうとうととしかけると、ガラリと教室に担任(カカシ)が入ってきた。
「はーい、席についてー。これからお前達の担任とする、はたけカカシ先生だよー」
「先生っ!挨拶くらい真面目にやってくださいっ!」
「んー、でもねぇ、初めだし、あんまり緊張させるのもなーって思って。」
サクラが怒ってもへらへらと変わらない態度。
自分を真面目な生徒だとは思わないが、その態度にイラッとする。
なおも突っかかろうとするサクラに、そうそう!とわざとらしく話題をそらしたカカシが「さーて、今日はこのクラスに転入生がやってきました。」と言ったのを聞いて、今朝のサイの言葉が浮かんだ。
『サスケ君と同じで、都会からの子だってのはきいてるよ。』
(俺と同じ、都会からのやつ、か・・・。)
そいつも、前の俺と同じようにここに引っ越してきたことを嫌がってるんだろうか。
どこか他人だと思えないからか、なんとなく、そいつも早くこの季節と楽しめるようになればいいな、と思った。

カカシは廊下のほうに向かって、入っておいでーなんて言いながらニコニコと手招きをしている。
クラスの視線は廊下に注がれた。
興味が無いわけじゃないので、俺の視線もそこへ向かっている。
ここにきたばかりの俺みたいに、仏頂面で入ってこないといいな、なんて思いながら。

やがてすっと姿を現したその「転入生」は・・・・・。



―――――

青空と同じ、青く美しい瞳と、向日葵のような鮮やかな黄色の髪色。

そして、太陽のような明るい笑顔の少年の絵。

すべての始まりはこの絵を観たときからだった。

夕焼けに染まった教室でキミに会えたことも。
キミの自分の命と向き合っていた悲しそうな表情も。
涙のあたたかさも。
一緒に星空を眺めたことも、その時の真っ赤に染まった顔も。

全部、覚えてる。

君の色は鮮やかで眩しくて、そしてとても美しかったから。 だから俺は恋をしたんだ。


―――――

笑顔で飛びついてきた体をしっかりと支える。
思わずぎゅっと抱きしめると、ふわりと太陽の匂いがした。

「サスケッ!ただいまってばよ!」
「おっせーんだよ、ナルト!!」


―さぁ、楽しい毎日の始まりだ。―




あとがき(↓書き上げた当初のものです。)
※お・わ・り・ましたーっ!
この話、実は去年の4月からやってたんですよね。長かったーっ!

近いうちに、今までの小説を修正・加筆してまとめページを作ろうと思います。
(もちろんおまけ小説のほうも!)

さて、書き終わってから、結局終わりまであんまり恋愛要素がないことに気付きました。
ぃや、あるにはあるけど、片思いサスケが一人でうろうろしてるだけなんですよね;
中学1年生という設定なので、あまりいちゃつかせるとキツイかなーと思ってたし、淡い恋物語が書きたかったので結果としては良いんですが、やっぱり物足りない気がするので、そのあたりもおまけとかで書きたいなーとか思ってます。
(ラブラブな二人を待っていた方々には申し訳ないです><;もう少しお待ちくださいっ)

あと、登場人物の少なさ。
本当はもっと、シカマルとか出したかったんですが、キバのみという結果に終わってしまったのが残念でした;
今度長編書くときはそういうところを改善したうえで頑張りたいです。

それでは、ここまでお付き合いくださって本当に有難うございました!
もうひとつのは、サクラちゃんとサイのお話です。サイサク風味になってます。