女子達の歓声がうるさすぎる。あぁ、やっぱりここでもこうなのか・・・。
「・・・うちはサスケです。よろしく」


U   NOT迷子!


「うちはくーん、どこに住んでるの?」
「ねぇねぇ、好きな人とかいるの?」
「前の学校はどんな感じだったの?」
朝のHRの後、サスケはすぐに女子に質問攻めにされていた。

―予想はしていたが、やっぱりウザい・・・―
サスケは、たとえば街中を歩いていればほぼ全員(女性)が振り向くほどのかなりの美少年であり、
前の学校でも毎日下駄箱に10〜20の女子からの手紙が入っていたりととにかくすごくもてていたのだが、本人は全くそういうものに興味がなかった。(よって前の学校ではおよそ4分の3の女子がふられていたりする)
だから、前の学校では質問攻めにくる女子なんてまったく居なくなっていて、サスケはそれをかなり喜んでいたりするのだったが、また新しい学校になればそれもまた「振り出しに戻る」状態なわけで。
他の男子から見ればかなり羨ましい状態なんだろうが、本人はむしろ代わってくれるならなんでもするというくらいの状態だった。


女子達の質問攻めは放課後まで続いていた。
質問に全く答えていなくても女子達は一向に止めようとしない。
そればかりか朝よりかなり近づいてきていたりする。
いくらサスケでも、流石にここまでされるといい加減怒りの感情を抑えきれない。
「ねぇ、うーちーはーくーーん、聞いてる・・・」 

ガンッ!!

サスケは机をおもいっきり蹴り、女子が唖然として見つめる中、一人スタスタと教室を出て行った。






「・・・・これは別に、迷子じゃないよな。」
教室を出て行って数分後、とにかく女子から離れる事だけを考えていたサスケは廊下で迷子になっていた。
下を向いて適当に逃げ回っていたわけだからここがどこなのか全く分からない。
「・・・・別に単純に下へ降りれば玄関に着くんだし迷子なわけじゃないよな。」
そう自分に言い聞かせても、今日初めて登校した学校で、しかも案外これが結構広かったりするので、たとえ迷子ではないとしても迷っている事には違いなかった。
見ればさっきまでの白いコンクリートの壁とは違い、木造の古い木の壁の廊下になっている。
さっき教室を出るとき、逃げるのに夢中になって鞄を置きっぱなしにしていたからとにかく教室に戻らなくてはなのだが、全くどこなのか分からない。ここは恥をしのんで先生や通りすがりの生徒に聞こうと思ったのだがだれも通らない。
「最悪だ・・・・」
窓を見ると、けっこう高いところにいるらしい。
・・・とりあえず下に降りるか。そう考えて走って階段を探そうとすると・・・・

ドンッ! バラバラ・・・
「痛っ!」「うわっ!」

・・・角で誰かとぶつかった。


「あっ・・・悪ぃ、前見てなかった・・・」
「・・・うん、大丈夫だよ。こっちこそ・・・・って、あれ、君は・・・」
「?」
そう言われてサスケは相手を見ると、見たことのあるような顔。
―・・・あ、そうだ。たしかコイツ・・・

「・・サスケ君だよね?何でこんな所にいるの?」

・・学級委員長のサイってやつだ。―
普段あまり人の顔も名前も覚えられない(覚えない)サスケだったが、彼は学級委員長のため、HR前に顔合わせと自己紹介をしあっていたので覚えていたようだ。
しかし今そんなことはとりあえずどうでもいい。
まさか「迷子になっていた」なんて、プライドの高いサスケには言える筈が無かった。
だから・・・

「・・・・いや、ちょっと暇だったし学校探検していただけだ。」

嘘をついた。





「えっ、探検? ・・・へぇ、サスケ君って難しそうな性格かと思ってたんだけど、結構面白いね」

瞬間、馬鹿な事を言ったと思ったサスケだったが、とりあえず迷ってたなんていうよりはマシだと思い直した。
「・・・さてと、サスケ君もちょっと手伝ってくれる?」
見ると足元にたくさんの紙が四方八方に散らばっている。
どうやらさっきぶつかった時にサイの持っていたものが落ちたらしい。
「・・・あ、悪ぃ、、、」サスケは急いで拾うのを手伝った。

「うん、大丈夫。ありがとう。」
全部の紙を拾い終わったところで、サスケは気がついた。
ここでサイと別れてしまったらまた一人でこの廊下を彷徨うことになる。
さっきから誰ともすれ違わないし、日も段々沈み始めていた。
今、サイと別れるのは危険だ。 サスケは必死に話のネタを探した。
「・・・なぁ、お前はここで何やってたんだ?」
「あ、僕?・・・うん、先生に頼まれてこの資料を美術室まで運ぼうとしてたんだけど」
「・・!なぁ、俺もついてって良いか??」
いきなり遮っての頼みに多少驚いたサイだったが、サスケはきっと、新しい学校で友達を作ろうと必死なんだろうと思い、「もちろんだよ」と、嬉しそうに返したので、『助かった・・・』サスケは今日初めて、心から安心したのであった・・・。




「美術室はね、まぁここの廊下の雰囲気でも分かるとは思うんだけどすごく古い教室でね。今はただの物置みたいになっているんだよ。」
「・・・それだと、美術の授業はどうなるんだ?」
「自分達の教室で受けるんだよ。近いうちに新校舎のほうに新しい美術室をつくるって話は出てるんだけど、でもいつになるのか分からないし・・・。」
「じゃあ今から行くとこはとても絵なんて描けないような教室なんだな。」
「うん、でも僕はちょっと使わせてもらってるんだけどね。」
どうやらサイは将来画家を目指しているらしく、先生から特別に許可をもらって使っているんだそうだ。
「・・・あ、ここだよ。」
上のプレートに、所々読めなくなってはいるが『美術室』と書いてある。
中に入ってみると、なるほど、行事なんかに使ったようなものが教室内にたくさん山積みにされていて、クラス全員が入って絵を描くスペースなんてなさそうだった。
しかし奥のほうに沢山の作品が飾られてあり、それがなんとか美術室らしさをひきだしている感じだ。
「あ、その資料はその辺に置いておいて。 ・・・折角だし、ちょっと僕の絵見てってよ。」
「あ、あぁ・・・・」
正直さっさと帰りたいサスケだったが、サイと離れるのは危険なので頷いた。


サイの作品は風景画が多かった。
サスケは美術のことなんて全く分からず(しかし筆記テストの際には一通り暗記するので一般よりは知識がある)絵を見たって、ただ上手い下手くらいしか思わないのだが、サイの作品はかなり上手いほうだと思った。
色使いが美しく、本当にその絵の光景にいるように錯覚させる。
その沢山の風景画の中に、一つだけ、布が被さっているものがあった。
サスケが不思議そうに見ていると、、
「あ、これはね、まだ途中なんだ。」サイが説明した。

「途中?」
「うん、人物画なんだけど・・・モデルをやってくれた友達がね、描いてる途中に具合悪くしちゃって・・・」
最近描いたやつなんだけどね、とサイは付け足した。
「・・・・そうなのか。」
少し興味があったが、布を外そうとしないところを見ると、どうやら見られたくないらしい。
頼み込んで見ようとは思わないので諦める事にした。

「そろそろ日が暮れちゃうし、帰ろうか。サスケ君鞄は?」
「・・あ、教室に置いてきた。」
「そっか、僕もなんだ。一緒に戻ろう。」

・・・・とりあえず、サイのおかげで無事に帰れたサスケなのであった。


―そして、サスケがこの日興味を抱いた絵がサスケを大きく狂わせることになるのはこの次の日の話・・・。―




※今までかなりギャグ小説ですが、もうそろそろシリアスになっていきます。
ナルトとサクラちゃんももうすぐです。